人の健康に影響をするものは大きく分けて体調、細菌やウイルスといった微生物、住環境の3つです。そのうち、毎日の生活の中で大きな変化がないものが住環境です。
近年においては住宅の気密性が高くなり、エアコンなど冷暖房など空調設備も完備され、一定の温度と湿度で調整されており、そういった空間が快適だと多くの人に信じられています。
しかし、その空間が有害な物質で充満していたらどうでしょうか?その住環境で生活していると当然のことながら、健康に悪い影響を受けてしまいます。
一般的には多くの人が1日の内の90%を室内で過ごしているといわれています。
しかし意外なことに室内の空気は外の空気に比べると、一酸化炭素、二酸化炭素や、
有害なホルムアルデヒドやパラジクロロベンゼンなどの濃度が高いのです。
ホルムアルデヒドの室内での主な発生源は合板です。合板は普通に家具に使用されていますし、住宅の中でも一番面積の大きい床や壁、天井などにも使われているケースがあります。特にフローリングに合板が使用されている場合、部屋の空気は床から上がってくるため要注意です。
また、パラジクロロベンゼンとは聞きなれない言葉ですが、タンスや衣類収納ケースなどの衣料用防虫剤として、一般的に家庭で使用されているものです。
部屋の空気中にこのような有害な物質が増えると、人の健康に悪い影響を与えることは
避けることができません。
空気の汚れに全く無防備な人間
空気中に含まれている物質は、呼吸により肺からはもちろんのこと、
皮膚や粘膜、消化器からも吸収されます。しかし吸収の量や早さに関係するのは、
空気に触れている体の部分の表面積なのです。
人間の皮膚の体表面積は約1.7㎡でたたみ1畳くらいの広さに対して、
肺胞の数は3億個もあり、その表面積は70㎡と、体表面積の約41倍もあります。
そして呼吸によって肺に取り込まれる空気の量は、平均的な成人の場合では1
万5千リットルもの肺胞換気量で、重さは約20キロにもなります。
もし空気中に防虫剤のパラジクロロベンゼンが100ppb含まれていた場合だと、
半日では肺の中に9ミリグラムが取り込まれます。
体重が60キロの人の場合では、体重1キロあたり0.15ミリグラムという量になります。
この量は、パラジクロロベンゼンの1日あたりに摂取許容量が体重1キロあたり
0.1ミリグラムだといわれているので、半日の呼吸でその摂取許容量を超えてしまうことになるのです。
そして、さらに怖いことに、パラジクロロベンゼンという物質は脂肪に溶けやすいという性質があり、人間の肺の表面は約9割が脂質でできているため、化学物質を取り込みやすいのです。今まで、空気のきれいなところで生活してきた人にとっては、空気の汚れということに意識がいかず全く無防備になっているのではないでしょうか。
空気の汚れということに深刻に考える必要がある理由は、
食事などで腸から吸収したものは肝臓の解毒作用によ浄化されて体に運ばれますが、
肺の場合は、そのままストレートに体に運ばれてしまうことです。
つまり、肺から吸入する空気中に含まれる有害物質は、微量であったとしても
何らかの症状を起こす可能性が高いからなのです。
こんな症状がある人は要注意!
近年では、省エネルギーということが取り上げられ、住宅の断熱性と気密性が大切だということがいわれるようになりました。しかし、その住環境から病気を引き起こすことが多くなり、シックハウス症候群という言葉も有名になってきました。
シックハウス症候群として特徴的な4つの症状を上げてみました。
こんな症状がある場合は、自宅や職場の住環境を疑ってみる必要があります。
■なぜか室内にいると体調が悪く、屋外にいると体調がよくなる。
■旅行や出張、入院など、長い期間、自宅から離れると体調がよくなる。
■花粉症、ぜんそく、頭痛、湿疹などのアレルギー症状やイラつきなどの症状が外出すると回復する。
■冬の時期など、室内にいる時間が長いといろいろな症状が悪くなる。
本サイトでは省エネ問題や環境問題、特に住環境の問題についてピックアップして
取り上げています。
しかし、家庭での省エネ対策を考え断熱性や気密性を高めると、住環境が悪化し、ともすれば
省エネと住環境が相反するものになるケースが発生するといった矛盾が生じることがあります。
本来、省エネ問題も住環境も、私たちが健康に暮らすために考えられるべき問題です。
二つの問題の両立を考えながら、快適な住環境にすることが大切なのです。
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快適な部屋作りには床がとても重要になります。フローリングや畳よりコルクマットを敷くことで省エネ問題と住環境の快適さの両立にもなります。特に、赤ちゃんのいるご家庭では、空気中の有害物質はとても心配です。天然素材で赤ちゃんにやさしいコルクマットをおすすめします!