環境ホルモンとは

環境ホルモンのイメージ

環境ホルモンと一概にいっても67種類もの数があるとされています。
これは、1997年に環境庁から出された「外因性内分泌かく乱化学物質に関する研究中間報告書」
で報告されている数となります。

環境ホルモンの定義は研究者や調査機関により異なりますが、
現在、環境ホルモンとされている物質は大きく分類して以下の三種類があります。

①生体中にあるホルモンと似た物質
②ホルモンと似ていないが、生体中にあるホルモンの量を変える作用をする物質
③ホルモンと似ておらず、ホルモンの量も変えないが、生殖機能に影響がある物質

環境ホルモンは、一般的には生殖機能に影響がある人工的な物質という認識がされています。
そして、その後も環境ホルモンと指摘される物質は増え続けており、
現在では187種類にもなっています。

常識より危ない環境ホルモンの生殖毒性

環境ホルモンの生殖毒性

住宅で使われている環境ホルモンの中で一番一般的なものは有機溶剤です。
誰でも子供の頃から、接着材やラッカーなどの塗料など匂いは経験しています。
そのためその臭いのもとである有機溶剤の危険性を軽視してきました。

しかしシンナー中毒という症状を引き起こすことで有名なように、
有機溶剤は神経や精神作用に大きな影響をおよぼす毒性があります。
そのことにプラスして、最近になって精子の減少や流産の原因になることもわかってきました。

北欧においてはほとんどの有機溶剤に生殖毒性があると疑われていますが、
怖いことに日本では、まだまだ有機溶剤にそのような生殖毒性があることが
知られないまま使われています。

住宅のリフォーム時が危ない

住宅のリフォーム

最近はリフォームブームといってもいいほど、住宅のリフォームをする人が増えています。

多くの場合は壁を新しくするため、数日にわたって施工に使用する有機溶剤が大量に揮発します。リフォームを施工する業者の人はマスクをして作業をしますが、その家の住人が、リフォームの期間に別の部屋に住んでいる場合、揮発した有機溶剤をずっと吸い続けることになるため、体の不調がおこることも少なくありません。

また、一番怖いのは、二人目、三人目と赤ちゃんができ、家族が増えることをきっかけにリフォームをする時に、リフォームがその原因とはわからないうちに流産することさえある点です。

自然の素材として人気のある珪藻土でさえ、壁の下地処理として有機溶剤が使われるため、
有害物質の吸収を期待して珪藻土の壁にしたのに、
なぜかリフォームをきっかけに体の具合が悪くなった人さえいます。

コスト重視の住宅にだまされるな

このようにとても怖い有機溶剤ですが、壁や塗料に使われるだけではなく、
接着剤の原料になっています。
つまり、新築、リフォーム問わず、様々な場所に多く使われているということなのです。

まず、建材として欠かせない合板ですが、最近は環境を考慮した、
低ホルマリンや、ノンホルムアルデヒドの合板が増えてきました。
しかし合板を作るのに欠かせない接着材は改善されていません。
化粧合板や、壁紙、複合木材や人工木材などいたるところに接着材は使われています。

このようにコストを重視した住宅メーカーの住まいでは、
有機溶剤の危険性から逃れることはとても難しいことになります。

住宅に使われている環境ホルモンの具体例

住宅に使用されている環境ホルモンの具体例を紹介したいと思います。

■床や壁
床や壁にコーティングされている塩化ビニールのフィルムには、
柔軟剤としてフタル酸エステル類や安定剤として有機スズ類が使われていることもあります。
塩化ビニールのクロスも同じです。

床や壁に使われている合板の多くは防虫処理がされており、
有機リン系殺虫剤が使われています。
その中でも特に危険なのがマラチオンとフェニトロチオンといわれるもので、
精子に以上を起こすケースがあることがわかっています。
いずれにしても有機リン系の殺虫剤はとても危険だという認識が必要です。

■合成木材や集成材
また、合成木材や木材を張り合わせた集成材は、木材にプラスチック樹脂が使われており、
このプラスチックの原材料のスチレン類やビスフェノールAと、
フタル酸エステル類が環境ホルモンとなります。

■塗料
塗料については有機溶剤が油性塗料に使用されています。
その他、染料の分散剤としてアルキルフェノール類、ノニルフエノールが
使われている場合があります。

■接着剤
接着剤は有機溶剤の他に主な原材料にも環境ホルモンが使われています。
アルキルフェノール類、ノニルフェノール、ビスフェノールAなど、
フェノール系の物質はどれも環境ホルモンです。
特にフェノール樹脂系接着剤はすべて問題があると認識しておく必要があります。
安全ともいわれるエポキシ系の接着材も、原材料はビスフェノールAなので代表的な環境ホルモンです。
こうなると現実には環境ホルモンの疑いがない接着剤はほとんどないことになります。

今後の課題として工法そのものが問われることになります。
そして畳には有機リン系の殺虫剤が使われている場合が多く、就寝中に長く吸ってしまうので、
妊娠している方は新しい畳に寝ることは避けた方が賢明です。

■断熱材
そしてカップ麺の容器が環境ホルモンとして問題になったことは記憶に新しいことと思いますが、
住宅の断熱材として使用されるポリスチレンフォームは同じ物質です。
この断熱材を大量に使っていると揮発した環境ホルモンを吸ってしまう危険性があります。

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